リンヴォック単剤の効果

まとめ

MTXで効果不十分な場合という前提で試験を行っているので、リンヴォック群の方が効果が優れているのはある程度当然と考えてよいと思いますが、まずはリンヴォックはMTXが使えず単剤で使用した場合でもある程度の効果はあると言えるでしょう。

他の臨床試験と比較するのはタブーではありますが、以前ご紹介したMTX併用下の臨床試験であるSELECT-COMPARE試験を見ると、12週時点でのACR20達成率は71%ですので、リンヴォック単剤でもそれほど遜色ない結果と思います。但し、今回の試験の方が罹病期間がやや短く、RF・抗CCP抗体の陽性率が少し低いことを考えると、今回の試験のほうが成績が良くなりやすいという背景は考慮しておく必要はあります

もう1回タブーを重ねてアクテムラの単剤の効果を比較してみます。比較するのはこれも以前ご紹介したSURPRIZE試験です。SURPRIZE試験では、12週時点でのACR20/50/70達成率は60%強/40%弱/20%弱程度ですので、これと比べても数字上は遜色なさそうです。但し、アクテムラの効果発現は比較的ゆっくりですので、アクテムラはこの後も効果は伸びてきて52週後には77.5%/63.1%/44.1%まで達成率は上がっていることに注意は必要です。今回のSELECT-MONOTHERAPY試験の14週以降の結果はわからないので、最終的にアクテムラと同じような効果が得られるかどうかはわかりません。

まとめの割には長くなりましたが、MTXが使用しにくい状況で、第一選択に上がるほどの結果ではまだありませんが、少なくとも選択肢の一つとして考えてよい結果であると私は思います。SELECT-COMPARE試験の結果は非常によいので、単剤でもこれだけの結果が出るというのはやはり非常によい薬剤と考えてよいと思います。5月には2週間の処方制限が解除される予定ですので、そうなればより使いやすくなるでしょう。

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