高安動脈炎に対するアクテムラ

今回は、高安動脈炎に対するアクテムラの効果について説明します。

アクテムラは関節リウマチでよく使用する生物学的製剤ですが、他の病気に対してもよく効く薬剤です。そのうちの一つ、高安動脈炎に対する効果を今回はご紹介します。

高安動脈炎は若年女性に発症しやすい病気で、大動脈やその分枝の動脈(大動脈から枝分かれしていく動脈)に炎症を起こし、その影響で動脈が狭くなったりつまったりします。例えば腕の動脈でそれが起これば、腕に血流が届きにくくなり、腕を使うような動作をした時に疲労を感じ動かしにくいといった症状がでます。

ステロイドは高安動脈炎に対してよく用いられ、よく効くのですが、量を減らすと再燃し、なかなかステロイドを減らせない方が多い(ステロイドに依存してしまう)という現状があります。ステロイド以外の薬剤も用いられますが、よく効く、とまでは言えない薬剤ばかりでした。

アクテムラは高安動脈炎の患者さんでステロイドへの依存を減らしてくれる有望な薬剤です。

今回は、保険適応となるきっかけとなったTAKT試験をご紹介します。お急ぎの方は3ページのまとめをご覧ください。

目的

高安動脈炎に対するアクテムラの効果と安全性を調査する、というのが目的です。

対象患者さん

・12歳以上の高安動脈炎の患者さん
・試験開始前12週以内に、プレドニゾロン(ステロイド)0.2mg/kg/日以上の投与下で再燃があった患者さん

アクテムラ投与方法

アクテムラ群:ステロイド+アクテムラ(アクテムラ:162mgを週1回皮下注投与)
プラセボ群:ステロイド+プラセボ(偽薬)

*ステロイドは4週間後から1週あたり10%ずつ減量し、最小投与量は0.1mg/kg/日とした。
*他施設共同二重盲検化コントロール試験

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