SLEに対するベンリスタの効果

今回もSLEの話題です。

前回はループス腎炎に対するベンリスタの効果をご紹介しましたが、今回はSLE全般に対するベンリスタの効果をご紹介します。BLISS-52試験の結果です。

 引用元:Lancet 2011; 377: 721

SLEの病態の一部にB細胞が関連しています。B細胞の分化が進むと抗体産生の働きを持つようになります。SLEでは自分に対する抗体(自己抗体)が産生されることで様々な全身臓器の炎症をきたします。ベンリスタはこのB細胞の活性化の刺激を抑える役割をもつ薬剤です。

お急ぎの方は3ページ目のまとめをご覧ください。

目的

ベンリスタのSLEに対する効果と安全性を検証します。

対象患者さん

・18歳以上
・1997年のSLE分類基準を満たす
・SLEの疾患活動性を有する(SELENA-SLEDAI≧6)
・抗核抗体≧80倍 または 抗ds−DNA抗体≧30IU/mL
・試験開始前30日間で薬剤の変更がない
ただし、重症の活動性ループス腎炎や精神神経ループスの患者さんは除外されました。

*SELENA-SLEDAI:SLEの疾患活動性を点数化したもので、大きいほど活動性は高くなります。

ベンリスタ投与方法

ベンリスタ10mg/kg群:ベンリスタ10mg/kgを0日・14日・28日に投与し、その後は28日毎に投与
ベンリスタ1mg/kg群:ベンリスタ1mg/kgを0日・14日・28日に投与し、その後は28日毎に投与
プラセボ群:ベンリスタの投与なし

評価項目

主要評価項目:52週後のSRI反応率
副次評価項目:52週時点でSELENA-SLEDAIが4点以上改善した患者さんの割合、24週時点でのPGAの平均変化量、24週時点でのSF-36(QOLのスコア)の平均変化量、40〜52週時点でプレドニゾロンの投与量が7.5mg以下へ減り かつ その変化量が25%以上である患者さんの割合、など

 *SRI:SELENA-SLEDAIの4点以上の改善、BILAG A(プレドニゾロン20mg以上または免疫抑制剤を必要とする臓器障害)の新たな出現がない、BILAG B(対症療法を必要とする臓器障害)の新たな出現が1個以内、PGA(患者さんの全般評価)の悪化(0.3以上の増加)がない、のすべてを満たしている状態