骨粗鬆症の基本①

今回は骨粗鬆症の基礎知識について説明します。

私は膠原病内科医なので骨粗鬆症は専門ではありませんが、関節リウマチの患者さんでは骨粗鬆症の方も多く、膠原病で使用するステロイドは骨粗鬆症を引き起こすため、骨粗鬆症の治療も多く行っています。関節リウマチ・膠原病患者さんと骨粗鬆症は、残念ながら切っても切れない縁がありますので、骨粗鬆症の基本について知っておくとよいと思います。

骨粗鬆症とは?

骨は、骨形成(骨を作る作用)と骨破壊(骨を壊す作用)が上手くバランスが取れた状態で維持されています。しかし、加齢によるカルシウム吸収能の低下や、女性の場合は閉経によるエストロゲンというホルモン低下により骨形成作用が弱くなり骨破壊が強くなることによって骨粗鬆症となります。

骨粗鬆症の有病率は、40歳以上の方では、男性3.4〜12.4%、女性19.2〜26.5%程度と報告されています。珍しい病気では全く無いですね。

骨粗鬆症かどうかを確認するには?

今まで骨折歴がないかどうかを確認します。骨折の中でも、大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折)や腰椎・胸椎などの椎体骨折(いわゆる圧迫骨折)をしたことがあれば骨密度を測らなくても直ちに骨粗鬆症と診断されます。

こういった骨折歴がない方では骨密度を測定します。骨密度の検査結果では、様々な測定値が記載されますが、大事なところだけ言うと、YAMという数値を見ます。YAMとは、Young Adult Meanの略で、若年成人平均値です。20〜44歳の健康な女性での平均値を100とした場合、ご自身の骨密度が何%かを示したものです。これが70%以下(または-2.5SD以下)の場合には骨粗鬆症と診断されます。

骨密度はどの部位を測定すればいいのでしょうか?これは腰椎と大腿骨近位部の2ヶ所を測定するのがよいとされています。ただし、既に腰椎の圧迫骨折がある方の腰椎の骨密度の測定結果には注意が必要です。圧迫骨折とは、骨がつぶるれるような形での骨折ですので、骨折により骨の密度は上がります。ですので、圧迫骨折がある方の骨密度は本来よりも高めに出てしまいます。私は上司から骨密度を図るときには腰椎のレントゲンも一緒に撮って圧迫骨折がないことを確認した上で骨密度の結果を読むように上司から教えられ、今も実践しています。

今回はここまで。次回は骨粗鬆症の治療について説明します。

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