3つの寛解を目指して

2週間ほど前になりますが、日帰り温泉に行ってきました。
標高が少し高いところだったので、一部ではありますが、紅葉が既にこんな感じでした。

前回まで3回にわたって、臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解を説明してきました。
今回は、これらを達成するためには?というところを説明します。

その前に、これら3つの寛解についての復習が必要な方は、過去の記事をご覧下さい。
 ・臨床的寛解
 ・構造的寛解
 ・機能的寛解

この3つの寛解の関係は山登りで例えられることがあります。
山の頂上を目指していく時に、まず臨床的寛解を通り、次に構造的寛解を通り、最後に頂上まで行くと機能的寛解に到達する、といったようにです。
全ての場合に当てはまるわけではないですが、多くの場合はこのような経過にあてはまります。

活動性が抑えられていなければ、関節は破壊され、日常生活に支障を来します。
逆に、活動性をしっかり抑えれば(臨床的寛解)、関節の破壊も進行せず(構造的寛解)、日常生活も支障なく送ることができます(機能的寛解)

ですので、やはり臨床的寛解を目指す、つまり関節リウマチの疾患活動性を抑えるところがスタートです。

これにはまず薬物療法が重要です。
使用してはいけない理由がなければ内服薬であるメトトレキサートを使用し、抑えきれない場合は次に生物学的製剤やJAK阻害薬を使用するというのが一般的な流れです。

薬物療法で不十分な場合は、手術やリハビリを併用して、3つの寛解が達成できるように補います
手術やリハビリも非常に有用な手段です。

関節が一度壊れてしまえば、今の時点での医療では、薬で戻すことは不可能です。その場合には人工関節などの手術をして関節の機能を戻してやることになります。

また、リハビリも非常に重要です。痛みで動かせなかった関節は、周囲の筋肉が弱ってしまい、痛みが治まっても動かしにくいままになってしまうことがあります。こういった場合にリハビリは非常に有用です。私の勤務医時代に担当した患者さんで、筋肉の炎症を起こす病気でステロイドの副作用が加わって筋力がかなり弱くなって寝たきりになってしまった方さんがいましたが、リハビリにより短い距離であれば自力で歩行できるところまで回復しました。

このように、薬物療法を中心に、手術やリハビリを必要に応じてうまく組み合わせながら、臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解を目指していきます

まとめ

今回も最後までお読み頂きありがとうございます。

まずは臨床的寛解を目指しながら、その先にある機能的寛解、機能的寛解も達成できているか随時確認していく。
これにより3つの寛解を達成することを目標とします。
この3つが達成されていれば、この先も関節が壊れて曲がってしまったり、日常生活に支障をきたしたり、といったことが生じる可能性は低く保てます。

この機会に一度ご自身のリウマチの状況を振り返ってみて下さい。
もしご自身で振り返るのが難しければ当院でもお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談下さい。

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