関節破壊進行の評価方法

先日、花とイルミネーションで有名なところに行ってきました。
あまり写真を撮る習慣がないので、唯一ぐらいの写真です。
花とイルミネーションと言いながらそれらは一つも写っていませんが、池に景色が綺麗にうつっているのがよくて思わず撮りました。

さて、今回は前回の続きのような形になります。
前回はリウマチの調子を評価する方法としてDAS28、SDAI、CDAIといった指標を説明しました。
これは、リウマチで目指すべき3本柱、臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解のうちの臨床的寛解を測るための指標です。
*臨床的寛解についての復習はこちらから。

今回は、構造的寛解をご紹介します。
構造的寛解とは、簡単に言うと、関節の破壊の進行が止まっている状態です。
それを確認する方法で最も用いられるのはレントゲンです。

関節を評価する画像検査は他に関節エコーやMRIがあります。
ただ、関節エコーは検査者が変われば結果も若干違ってくることもあるため、まだ適しているとは言えません。またMRIについては手軽にどこでも撮れるものでもないため、すべての患者さんに行うには向いていません。
そこでレントゲンが比較的手軽にかつある程度正確にできる検査ということで、構造的寛解の指標に使われます

レントゲンを用いて正確に評価しようと思うと、mTSS(modified Total Sharp Score)という方法を用います。

これは、レントゲンで見たときの骨と骨との隙間(関節裂隙=軟骨)が減っていないか、また骨が壊されていないか(=骨びらん)を手・足の各関節で点数化して評価します。壊されていれば壊されているほど、点数は高くなります。
これを1年前のレントゲンでの点数と比べ、1年間で点数の増加が0.5以下であれば構造的寛解と判断します。
ただ、この方法はかなりの数の関節を評価するため、かなり時間がかかり、すべての患者さんに行うには適しません。
この方法は臨床試験などで用いられることが多い指標です。

写真:レントゲンで見た足の指の関節の骨びらん(矢印の部分)

日常の臨床の場では、半年〜1年前のレントゲンと今のレントゲンを並べて、変化はないか確認するといった方法をとっていることが多いと思います。

ただし、この方法は簡便でたくさんの患者さんにも対応できる反面、mTSSと比べれば客観性が低くなります。mTSSは結果が数値化されるので、進んでいるかどうかは数値を見ればすぐに分かります。レントゲンを撮る毎に点数化さえすれば過去から現在にかけての進行度合いも素早く評価できます。ですので、mTSSと比べれば進行を見落とす患者さんも出てきます。例えば、1年前のレントゲンと比べてあまり変わりないので大丈夫と思っても、数年前と比べると破壊が進んでいたということも稀にあります。
ですので私の場合は、通院歴の長い患者さんでは1年前のレントゲンと比べて、さらに数年前のレントゲンとも比べてみて、短期的に進行がないかと言うのに加えて、長期的にも進行がないかというところも確認するようにしています。

まとめ

このような形で、比較的落ち着いている患者さんであれば1年に1回程度、疾患活動性のある患者さんであれば半年に1回程度、レントゲンを撮って進行がないか確認しています。短期的に進行がないか確認するのに加えて、数年前のレントゲンも振り返って長期的に進行がないか確認するのもポイントです。

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