関節リウマチ治療の基本的な考え方

☆患者さん向け☆
→お時間のない方は最後の3ページのまとめをご覧下さい。

医療関係者の中で、リウマチの分野で最も有名な学会は欧州リウマチ学会です。
私たちはEULAR(EUropean League Against Rheumatism)と略して呼びますが、EULARが2020年に関節リウマチの治療推奨を更新しました。

 →一般公開されているのは要約のみです。https://ard.bmj.com/content/79/6/685

細かい部分には触れませんが、原理原則・理念のところについてここでは見ていきます。
AからEの5項目あります。

A.リウマチ患者さんの治療は、その患者さんにとってベストのものを目指すべきであり、協働意思決定に基づいて行われなければならない。

 個々の患者さんにとってベストなものを目指すというのは当たり前のことですが、「協働意思決定に基づいて」という言葉が出てきます。これは今よく言われている、シェアード・デシジョン・メイキング(Shared Decision Making)というものです。わかりやすく言うと、医師と患者さんがよく話し合って治療方針を「一緒に」決める、ということです。

B.治療方針を決める際には、併存症や関節破壊の進行度など、疾患活動性や安全性の問題やその他の患者さんの要因を考慮するべきである。

 リウマチを治療する際には、リウマチの重症度を考慮するのはもちろんですが、リウマチ以外に持っている病気のことも考える必要があります。他にどのような病気を持っているかによって使用する薬も変わってきます。また、リウマチに伴う肺病変など関節以外のリウマチ症状を合併していることも少なくありません。最近ではリウマチ治療においては内科医の重要性が増してきています。