メトトレキサート注射製剤

メトトレキサート(商品名:リウマトレックス、メトレート、以下MTX)は日本ではこれまで内服薬のみでしたが、2022年11月に注射製剤(商品名:メトジェクト)が発売されました。

まだ元文献が手に入っていないので、発売元であるエーザイ株式会社のパンフレット(総合製品情報概要)からポイントだけ抜粋します。

国内第三相試験(MC-MTX.17/RA試験)のデータです。

MTXによる治療歴のないRA患者さん101人に対して、52人にメトジェクト7.5mg/週皮下注、49人にメトトレキサート内服製剤8mg/週を12週間投与しました。

12週時点でのACR20(参照:リウマチの調子の良し悪しの評価方法)はメトジェクト群で59.6%、内服薬群で51.0%で有意差はなく、効果は同等でした。

副作用は胃腸障害以外は種類・頻度ともに概ね同様の内容でした。胃腸障害については、メトジェクト群で4例(7.7%)、MTX内服群で11例(22.0%)と少し差があるように見えます。特に悪心がメトジェクト群で2例(3.8%)、MTX内服群で6例(12.0%)でした。症例数が少ないので直ちに断言はできませんが、この点が注射製剤と内服製剤の差であるように見受けられます。

薬価はメトジェクト7.5mg/週で1ヶ月(4週間)だと3割負担で2,000円強、内服薬先発品8mg/週で1ヶ月だと800円前後であり、金額にはかなり開きがあります。注射の機材等のことを考えるとやむを得ない差かもしれません。

以上のことをまとめると、効果概ね同等、副作用はメトジェクトで胃腸障害が少ない、金額はメトジェクトが高い、といったような内容になります。

従って、すべての人がメトジェクトを使う、ということにはならなさそうですね。メトジェクト関連の講演会をいくつか聞いた上での私の意見ですが、まずは従来通り内服薬で開始し、増量していく中で胃腸障害が原因で増量できなくなった場合にメトジェクトに切り替える、といった使い方が現実的なように思います。

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