アクテムラの効果:骨びらん修復

前回前々回とメトトレキサート(リウマトレックス、メトレート、以下MTX)非併用でのアクテムラの効果について説明しました。MTXが併用できない患者さんではアクテムラは第一候補に上がってくる薬剤と私は考えています。

今回は少し視点を変えて、REBONE試験という試験をご紹介します。骨びらんというのは、関節リウマチの炎症によって骨が溶かされて壊れてしまうことを言いますが、アクテムラで治療することによりこの骨びらんが修復されるのかどうかを検証した試験です。

 引用元:Ann Rheum Dis. 2019; 78: 1186

目的

早期の関節リウマチ患者さんにおいて、アクテムラを投与した場合と、MTX+アダリムマブを投与した場合とで、骨びらんの修復効果を比較する。
 *アダリムマブ:商品名ヒュミラ(TNFα阻害薬に分類される生物学的製剤)

対象患者さん

2010年の基準で関節リウマチと分類(≒診断)されている
DAS28≧3.2の活動性がある(中〜高疾患活動性)
MTX20mg/週で3ヶ月以上の治療歴があり、効果不十分または副作用で継続困難
直近4週間でステロイド投与量はプレドニゾロン換算で5mg/日以下
第2中手骨頭と橈骨頭にHR-pQCTで骨びらんを認める
 *第2中手骨頭:人差し指のいわゆる付け根のところの骨
 *橈骨頭:肘から手首までの部分には2本の骨が並行して走っていますが、その親指側の骨が橈骨です。その橈骨の手首側の端のことをさします。
 *HR-pQCT:骨びらんの量を測定できるCT