アクテムラの効果

まとめ

もちろんアクテムラは有用であるという結論ですが、特筆すべきは、今回アクテムラは単剤で使用したということです。メトトレキサートは併用していません。異なる試験同士の数値を比較するのはタブーですが、単剤でこれだけの有効性があるというのは驚くべきことと思います。これは冒頭に書いた、私がアクテムラが良い薬であると思う理由の一つです。

ただし、アクテムラは他の薬には無い注意点があります。効果のある無しに関わらず、CRPを陰性化させてしまうという点です。他の薬は効けばそれに伴って炎症を反映する数値であるCRPも下がり、効かなければCRPは下がりませんが、アクテムラの場合は効かなくても下がってしまいます。

逆に言うと、CRPが下がっているからといって効いているとは限らないということです。ですので、アクテムラを使っている場合には、CRPは効果の判定には使えません。それに伴って、DAS28やSDAIという指標は使えません。アクテムラの場合はCRPを含まない指標であるCDAIを使って効果を見ることになっています。
 *DAS28、SDAI、CDAIについては過去の記事をご覧下さい。

また、肺炎などの感染症を起こした際には通常CRPが上昇しますが、アクテムラ投与中はCRPが上昇しにくいので、注意しないと感染症の発見が遅れる原因になります。加えて、発熱や倦怠感、咳嗽・喀痰などの症状も出にくくなるとされており、注意が必要です(Fujiwara H, et al. Mod Rheumatol 2009; 19: 64)。

以上のように、良い薬である反面、注意点もあります。私はアクテムラを使用する場合は患者さんにこれらの注意点を説明するのは勿論、救急外来を担当する医師への啓蒙や、カルテへ注意点の記載などを行っています。

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