安定期のSLEに対する少量ステロイド

まとめ

PSL5mg/日で病勢が安定しているSLE患者さんでは、PSL中止により、継続した場合と比べて1年間での再燃率は4倍にあがり、27%が再燃するという結果でした。再燃した際の重症度はそれほど高くはなさそうです。また有害事象は両群で差はありませんでした。

27%も再燃し有害事象は変わりないという結果であれば、単純に解釈するとPSLは中止するよりも継続したほうがよいということになります。

ただし、注意が必要です。あくまで今回の試験は1年間しか観察していません。SLE患者さんにおける問題の一つは数十年もの長期に渡ってステロイドを内服しなければならないという点です。ステロイドの副作用は1年間観察すれば大丈夫というものではありません。少量でも長期内服することにより副作用のリスクは蓄積していきます。

副作用の観点からはステロイドは少しでも少ないに越したことはありません。たかが1mgでも数十年積み重なればその差は大きいです。単純に再燃が怖いからそのままステロイドを継続するという選択をするのではなく、再燃を予防しながらなるべく少ない量まで減らしていくことを考えるべきです。

今回の試験の教訓は、少量ステロイドで安定していても中止すれば再燃する可能性は高くなるため注意する必要がある、というところです。「ステロイドは中止せずに継続するべきだ」とまで解釈するのは適切ではないと個人的には思います。

試験の内容を見てみると、免疫抑制剤の併用率が少ない印象を受けます。病勢を十分に把握した上で、必要な場合には免疫抑制剤を併用するなどし、再燃に注意を払いながら、個々の状況に応じた最小量のステロイドまで減らしていくことを検討したいです。

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