妊娠中の関節リウマチ活動性低下に寄与する因子

まとめ

結果の事実だけを羅列してきたのでこれだけではわかりにくいと思いますので内容をまとめます。

①第1三半期(≒妊娠時)に疾患活動性が高いと、第3三半期(≒妊娠後期)も活動性が下がりにくい
②自己抗体が陽性であると、妊娠後期も活動性が下がりにくい
③妊娠時にステロイドを使用していると妊娠後期にも活動性が下がりにくい

という点に集約されます。

妊娠時に活動性が低ければ妊娠後期まで低い活動性を維持できますが、逆に妊娠時に活動性が高ければ妊娠後期まで活動性が高くなってしまいます。これは冒頭に書いた昔の認識「関節リウマチの活動性は妊娠中には下がる」という事実とは少し異なっていることがわかると思います。ここから言えるのは、妊娠までに関節リウマチの活動性はしっかり下げておく必要があるということです。

また、妊娠時にステロイドを使用していると妊娠中に活動性が高いままになってしまうということなので、ステロイドは極力使わずに済むようにしたいです。ただし、単にステロイドを使わずに活動性が高いままにしておけばよい訳ではないのは当然です。ステロイドを使わなくてもいいように、他の薬をしっかり使って活動性を下げておく必要があります。

自己抗体が陽性かどうか、という点についてはもともとのものですのでどうしようもありません。自己抗体陽性の方は活動性が高くなる傾向があるので、欧州リウマチ学会の関節リウマチのリコメンデーションにも記載されているように、メトトレキサート(リウマトレックス)で効果不十分であれば生物学的製剤などを使用して十分に治療しておくように心がけます。
  注)メトトレキサートは妊娠・授乳中は使用できません。

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