SLEに対するプラケニルの効果

今回はSLEに対するプラケニル(一般名:ヒドロキシクロロキン)の効果についてご紹介します。

プラケニルはもともとは抗マラリア薬を改良されてできた薬です。SLEの治療に必須と言われる薬であり、欧米ではかなり以前から使用されていましたが、日本では長らく使用できませんでした。2015年にようやく日本でも使用できるようになりました。

今回は古い論文ではありますが、複数の臨床試験の結果まとめた報告をご紹介します。

 引用元:Ann Rheum Dis. 2010; 69: 20

目的

SLE患者さんにおける抗マラリア薬治療の効果と安全性を検討します。

方法

1982年から2007年に出された英語論文で、ランダム化コントロール試験(RCT)と観察研究を抽出しました。有害事象の報告以外についてはケースレポートは除外されました。

結果

合計11件の報告を解析対象とし、その内訳はRCTが4件、前向きコホート研究が4件、後ろ向きコホート研究が2件、RCTの延長試験の後方視的解析が1件でした。RCTのうち3件には妊婦も含まれていました。

妊娠中の患者さんでも、妊娠中ではない患者さんでもSLEの活動性は抗マラリア薬により低下し、強いエビデンスを認めました。重症の再燃率は抗マラリア薬により低下したものの、その程度はなんとか有意差がつく程度であり、エビデンスは弱いものでした。

活動性の他に、血中のコレステロールや中性脂肪に対する効果、骨密度、特に脊椎に対する効果、血栓症に対する効果、不可逆性の臓器障害への進展防止効果、生存率を高める効果も認められています。

有害事象については、腹部症状や皮膚症状などに注意する必要がありそうです。また定期的な眼科検診が必要です。