治療薬の選び方

今回は、治療薬を選ぶ時に知っておいていただきたい副作用についての考え方をご紹介します。少し長くなりますが、個人的には非常に重要な考え方だと思いますので是非読んで頂けると嬉しいです。

薬や病気のことに限らず、人は多くの決断をしながら人生を送っています。その決断の時には何かと何かを天秤にかけて比べているはずです。例えば、目の前にある商品を買うべきか、買うべきでないか。もしくは目の前の商品を買うべきか、別の商品を買うべきか、といったようにです。薬も同様です。何かと何かを天秤にかけて考えているはずです。

今回は、薬を選ぶ際のポイントを2つご紹介します。

ポイント1:副作用とは?

皆さんは副作用というと、どういった印象を持ちますか?もちろん悪い印象を持つと思います。当然です。それは、ある薬がもっている様々な作用の中で、目の前の病気の治療には「不要な作用」を「副作用」というふうに「人間が線を引っ張って決めた」からです。ですので、悪い印象をもって当然ですが、しかし、多くの人にとっては副作用の印象が悪くなりすぎているように感じています。

一つ例をご紹介します。
誤解を避けるために薬の名前は出しませんが、例えばアレルギーを抑える薬があります。これはアレルギーが起こる機序を抑えて、蕁麻疹などの皮膚症状を抑える効果があります。皮膚症状を抑える、というのが主作用です。ただ、こういった薬の多くには眠気が生じるという副作用があります。これはアレルギーを抑える局面では不要な作用なので副作用です。

しかし、次の局面ではどうでしょうか?あくまで保険適応外の使い方なので、想像上のことだと思って下さい。不眠症で眠れない方が飲んだらどうなるでしょう?アレルギーの人にとっては不要な作用であった眠気は、この方にとっては主作用に変わります。逆に皮膚症状を抑えるというのはこの方にとっては不要な作用なので副作用に変わります。

このように、主作用か副作用かというのは人間が決めたラインです。人によっては主作用か副作用かというのは変わります。では何によって変わるのでしょうか?お気づきの方が多いと思いますが、病気によって変わります。上の例で言えば、アレルギーの人か、不眠症の人か、ということですね。これは2つ目のポイントに繋がっていきます。

副作用だけを意識せずに、「作用(=主作用≒効果)」と「副作用(=不要な効果)」のバランスが取れている薬を選ぶ、これが1つ目のポイントです。