リウマチ性疾患患者さんの新型コロナワクチン接種

先日、コロナワクチン接種を受けてきたことをご報告しました。私の場合は副反応は接種部位の疼痛のみでした。翌日は肩がある一定以上に上がらないくらいの疼痛がありましたが、2日後にはかなり改善し、3日後ぐらいには消失しました。

さて、今回はリウマチ・膠原病患者さんに対するワクチン接種についての話です。

インフルエンザや肺炎球菌ワクチンはこれまでの使用経験で安全性がよく分かっており接種することが推奨されていますが、今回の新型コロナウイルスに対するワクチンは開発からまだ間もなく長期の安全性がまだ分かりきっていないため、どうしても最終判断は各患者さんの意志に任せるとせざるを得ません。

ただ、何も情報がない状態では判断できませんので、日本リウマチ学会の見解をご紹介します。以下は日本リウマチ学会のホームページに掲載されているものです。

日本リウマチ学会の見解

日本リウマチ学会は、個人の自由意思による選択であることを強調した上で、欧州や米国の各学会の見解を紹介しています。

欧州リウマチ学会は、「すべての人にとってCOVID-19ワクチン接種は賢い選択である」とし、「リウマチ性疾患患者がワクチン接種を差し控える理由がみあたらない」としています。

米国リウマチ学会もワクチンを強く推奨しています。

SLEなどの全身性炎症性疾患ではCOVID-19重症化のリスクが高いとする報告もあり、リウマチ性疾患患者さんへのCOVID-19ワクチン接種は検討に値すると、日本リウマチ学会はコメントしています。

ただ、安全性については長期の部分がやはりまだ不透明です。日本リウマチ学会はアナフィラキシーと原疾患の悪化の2つが注意点である、としています。

アナフィラキシーは以前の記事に書いたように、日本人で特に注意が必要かどうかは慎重な検討が必要です。リウマチ性疾患患者さんでアナフィラキシーショックが増えるという報告は今のところありません。

また、原疾患の悪化(例:SLE患者さんがワクチン接種によりSLEが悪化する)については、実際に悪化したという報告はありません。欧州リウマチ学会は「原病の悪化はありそうにないがデータは不足している」という見解です。ただし、日本リウマチ学会は接種するのであれば原疾患が落ち着いているときの接種が望ましい、としています。

以上、日本リウマチ学会の見解をご紹介しました。ただ、「うった方がよい」とか「うたない方がよい」とかはっきり書いてくれていませんので、これを読んでもなかなか判断はしにくいとは思います。概ねどの学会も接種を推奨する傾向にありますが、長期の安全性の点から強く推奨するまでには至っていない印象です。もう少し詳しく知りたい方は以下のサイトもご参照ください。また、主治医の先生ともよくご相談ください。

 ・日本リウマチ学会:https://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19_2/
 ・日本臨床免疫学会:http://www.jsci73.net/information/covid19.php
 ・日本感染症学会:https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=43
 ・欧州リウマチ学会(英語):https://www.eular.org/eular_sars_cov_2_vaccination_rmd_patients.cfm
 ・米国リウマチ学会:https://www.rheumatology.org/Announcements#VaccineClinicalGuidance

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