シムジアの早期併用

まとめ

今回の試験は、発症から1年以内という早期にMTXとシムジアを同時に開始する治療にどれだけの意義があるかを検討したものです。臨床的・構造的・機能的いずれの側面においてもシムジアを同時に開始するほうが、MTX単独で開始するよりも優れていました

日本リウマチ学会のガイドラインでは、治療歴がない関節リウマチ患者さんの場合でも、「疾患活動性が高い(=DAS28が5.1超の高疾患活動性)で、更に予後不良因子(RF陽性、抗CCP抗体陽性又は画像検査における骨びらんを認める)を有する場合には、MTXとの併用による使用を考慮する」とされています(日本リウマチ学会 関節リウマチ(RA)に対するRNF阻害薬使用の手引き(2020年2月1日改訂版))。

また興味深いことに、シムジアの上乗せ効果は治療開始直後から見られていました。通常、抗リウマチ薬の治療効果判定は3〜6ヶ月後に判定することになっています。それだけ効果発現に時間がかかるということですが、シムジアは効果発現が早い可能性があることが、今回の臨床試験で示されています。

通常は、MTXを開始して、しばらく治療効果を見た上で効果不十分であれば生物学的製剤、という形で段階的に生物学的製剤を使用しています。しかし、MTXの効果発現には時間がかかるため、初診時に活動性の高い患者さんでは治療を開始しても数カ月間は日常生活をするのも困ってしまう、という方がおられます。そういった場合には、これまではやむを得ず即効性のあるステロイドを使用してきました。

今回のシムジアの効果発現のはやさを見ると、完全に私見ですが、初診時に非常に活動性の高い患者さんに、ステロイドの代わりにシムジアをMTXと同時開始することで、速やかに活動性を下げることができるのではないか、そういった場合の選択肢の一つに入れてもよいのではないかと考えています。

実際に私の経験上も、初診時に疾患活動性が高くて車椅子で来院されたような患者さんに、シムジアの早期併用を行い、ステロイドを使わずに済んだ方もいらっしゃいます。今回の試験は、非常に意義のある結果と考えています。

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