ANCA関連血管炎に対するステロイドフリー治療に向けて

評価項目

主要評価項目26週時点での寛解率(BVAS=0かつ以前4週間にステロイドの投与を受けていない)、寛解維持率(26週時点+52週時点で寛解、かつ52週の前4週間でステロイドの投与を受けていない)

副次評価項目:ステロイドによる副作用、4週時点でのBVAS=0、QOLスコアの変化、再燃、eGFR(腎機能)の変化、尿蛋白等

結果

アバコパン群は166人、ステロイド群は164人となりました。

主要評価項目の1つである26週時点での寛解率を見てみます。アバコパン群では166人中120人で72.3%、ステロイド群では164人中115人で70.1%が寛解の基準を満たしていました。統計学的に解析するとアバコパン群はステロイド群に劣らない、という結果でした。

もう1つの主要評価項目である寛解維持率を見てみます。アバコパン群では166人中109人で65.7%、ステロイド群では164人中90人で54.9%が寛解維持されていました。これもアバコパン群はステロイド群に劣らない、という結果です。またこれに関しては優越性も証明されました。

副次評価項目についてです。52週時点でのeGFRの変化はアバコパン群で7.3、ステロイド群で4.1で、透析を必要としたのは、アバコパン群で2人、ステロイド群で4人でした。

ステロイドによる副作用はステロイド群で多く、QOLスコアは両群で目立った変化はありません。

再燃率も明らかな差異は認めませんでした。

ステロイドの合計使用量は、アバコパン群で1349mg(4mg/日程度)、ステロイド群で3655mg(12mg/日程度)でした。
*病勢が落ち着ききらない時にレスキュー目的でのステロイドの使用は認められているので、アバコパン群でもステロイドは使用されています。

有害事象

重大な有害事象はアバコパン群で116件、ステロイド群で166件でした。重大な有害事象のうち主なものは血管炎の悪化でした。重大な有害事象を起こした患者の割合はアバコパン群で37.3%、ステロイド群で39.0%でした。

死亡はアバコパン群で2人(原因は血管炎の悪化と肺炎)、ステロイド群で4人(原因は、真菌感染、感染性の胸水、急性心筋梗塞、原因不明)でした。

重篤な感染症の発生率はアバコパン群で13.3%、ステロイド群で15.2%でした。